佐藤の脱出ゲームについて思うこと

脱出ゲーム制作団体「トイカケボーズ」の佐藤が脱出ゲームについて思ったことを、制作者と参加者の両方の視点で書いてきます。

脱出ゲームの難易度について(おまけ)

前回、前々回と、いきなりヘビーでピンとこない内容を書いてしまったなあと反省しながらも、もう少しだけ補足等をしたいと思います。

 

先日ある脱出ゲームで全チーム中自分のチームだけ失敗というものすごく悔しい思いをしました。

前回の難易度の話は、その悔しさを吐き出すべくして書かれた内容なので、まあなんというかそういう内容だったかなあ、と思います(察してくださいませ。。。)

 

その脱出ゲームの帰りに、一緒に行った友人と難易度調整の話になりました。

佐藤「難易度調整って難しいよね。僕らじゃない初心者が紛れ込んで、自分たちだけ失敗ってなったらトラウマになりそうな感じするよね。制作側としてどうしたらいいと思う?」

友人「もっと難易度上げて上級者の脱出率を下げるか、全員脱出させるかのどっちじゃない?」

佐藤「?!」

 

結構当たり前なことな気もしますが、僕には衝撃的な意見でした。

あれ以上難易度が上がったら自分は楽しめないだろうし、全員脱出ってのも醍醐味が薄れるなあ、なんてわがままなことを思った帰路でした。

 

自分が参加した別の脱出ゲームで逆の立場になったこともあります。

あるリアル脱出ゲームのリバイバル公演で、明らかに初心者チームだろうなあって思ってたチームだけが唯一の失敗チームになって、変な空気になった(気がした)ときに、もしかしたら当人たちよりも胸がザワザワしたんじゃないかっていう思い出があります。

 

トイカケボーズの公演でも、築地本願寺の初回公演のときに、脱出率が7割くらいで、想定していた演出が裏目に出て、初心者が居たたまれない感じになってしまいました。

トイカケボーズでは、序盤のヒントを少し多めにしたり、演出を少し変えたりして対処しました。その甲斐あって、初回のアンケートで出ていた不満要素はなくなりました。

ヒントは多めにしましたが、全員脱出させようとはさらさら思っていません。

難易度自体は変わりません。全体の進行具合の底上げと演出で対策した形です。

初心者の人がある程度最後まで行けて、なおかつ気持ちよく失敗して欲しいと思ったからです。

 

んで結局何が言いたいのかといいますと、、、

『失敗した人が良い顔してないと、成功した方も気持ちよくない!』

ってことです。

ゲーム内容にもよると思いますが、やみくもに物量を増やしたり、とんでもない発想の飛躍を求めてくる形で難易度を上げると失敗した人はあまり気持ちよく無いんじゃないかなあと僕は思っています。

全員を満足させるっておそらく不可能だと思うのですが、失敗した人が楽しそうな顔でいい感じに悔しがってこそ盛り上がるコンテンツだと思うんです。

 

大勢の人が良い顔で失敗できるほど良い調整をして欲しい、という願いです。

同時にこれは滅茶苦茶な理想だってこともわかります。

少なくともトイカケボーズはそれを目指して難易度を決めていたいです!

脱出ゲームの難易度について(後半)

先に前半から読んでくださいね。

でないと「何の話?!」ってなると思います。

 

toykakeboze-sato.hatenablog.com

 

 

さて、後半は僕の作る脱出ゲームの発想をケンケンパで例えたいと思います。

ここだけ聞くとほんとに「何言ってんだコイツ」ってなりそうですね(笑)

自分が作る脱出ゲームって言いましたが、自分が好きな脱出ゲームの話でもあります。

 

 

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「これをどういう発想で難易度アップさせるか」という話でしたね。

  • ケンケンの数(謎の物量)を増やす
  • ケンケンの距離を開ける(発想の飛躍をさせる)

以外の方法で、です。

 

先に言ってしまうと、「発想の転換」です。(うまい言い方が見つけられてないので、今はそう呼ぶことにします)

発想の飛躍と結構似ているのですが、少し違うんです。

 

 

例えば・・・

  • 「パパパパパケンパパパパパ」

なんてどうでしょう?バグったわけじゃないですよ(笑)

ケンケンで進むより、実はパだけで進む方が難しかったりします。

これ人によっては「こっちの方が簡単」って思う人もいるかもしれません。

謎解きでもそれは言えてて、「発想の転換」で難易度上げたときは、波長が合う人はむしろ瞬殺できちゃったりします。そして周りが解けてなくて驚くんですよね。僕もごくたまに経験しますし、優越感もすごいです(笑)

 

他には、ケンケンパのマルは上の画像のまま・・・

  • 「ケンのときは右足と左足を必ず交互に使ってください」
  • 「3歩進んだら2歩下がってください」

みたいなルールを付け足しちゃうってやつです。

使うものは全く同じでも、全然違う体験が待っているはずです。

「ケンのときは右足と左足は必ず交互に使ってください。ただし3歩進んだら2歩下がってください」にするともっともっと難しくなります。でもやりすぎるとついていけなくなるので、これだってやつに絞る方がいいと思います。

 

いかがでしょうか?

 

この考え方は、任天堂横井軍平氏の「枯れた技術の水平思考」と言われる考え方を基にしています。詳しくはここでは述べませんので興味のある方は調べていただけたら、と思います。

僕の解釈を加えた上で簡単に言うと、「上に上にを目指すのではなく、すでにあるものの発想を変えて作ってみる」といったところです。

上級者に合わせた難易度アップではなくて、上級者も「お!」ってなるけど初心者も頑張れば出来そう!って思わせられる難易度アップの方法が「発想の転換」だと思うのです。

 

もちろん、物量・発想の飛躍・発想の転換を組み合わせることでより面白いものを作ることができると思います。

ただ、物量を増やしたり、発想の飛躍が大きすぎたりすると、謎の全貌が見えないまま敗れていく人が増えます。

脱出ゲームって基本一度しか体験できないコンテンツです。だからこそ、初心者にも全貌が分かるゲーム作りをする空気がもうちょっと増えてくれたらなあ、って思ってるところです。

 

ああ!まとまったかわからないし、伝わったかも分からない。。。

僕もまだ制作し始めたばかりです。もう少しして、もっと整理出来たら改めて書こうと思います。

とりあえず、今思う、難易度調整についてのお話でした。

脱出ゲームの難易度について(前半)

先に言っておきます。長めです。そして伝わらないかもです( ̄▽ ̄;)

(でも伝わってほしいです。。。)

 

さて、みなさん「ケンケンパ」ってやりますか?

 

何のことだよ!ってなるとは思うんですが、僕は脱出ゲームの難易度を考えるときに「ケンケンパ」を使います。

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これです。一個のとこは片足(ケン)、二個のところは両足(パ)で進んでいくアレです。

では、あなたなりの難易度でケンケンを作ってくださいって言われたらどうしますか?

石を投げて、、、みたいなのもあるようですが、今回は純粋に「ケン」と「パ」の丸だけを使って、です。

これ、実は結構奥深いですよ。

 

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これを基本(難易度かなり低め)として難易度を上げるとします。

 

まずはケンの数を増やすってのが一番かなと思います。(例:ケン・ケン・パ・ケン・ケン・ケン・パ)

謎解きでは物量にあたると思います。難易度を上げるには手っ取り早いかなと思います。ガンガン解くぜ!って人には良いと思いますが、飽きないように作らないと、ただただしんどいだけってなりかねません。

例えば、200回ケンケンをさせられて、「さあ100番目のマルは何色でしたでしょう?」って出題があったとします。嬉々として確かめに戻れる人もいるでしょうが、僕は「時間も足りないし疲れたし、もうやだよお」ってなります。

 

 

次によくある案は、ケンとケンの間を開ける、というやつです。

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こんなイメージです。

謎解きではこれを発想の飛躍と言います。こういったものは後半に行くほど距離が伸びていきます。これは確かに、距離が長いものが出来たとき(発想が難しい謎がわかったとき)の達成感はすごいんですよね。

が、調子に乗って難易度をあげすぎると、出来なかった人がお手本を見たとき(解説を聞いた時)、「アスリートじゃないとできねーよ!(謎解きのプロじゃないとわからねーよ!)」と、冷めてしまう恐れがると思うんです。

製作者側からすると、「飛べるようになればいい(解けるようになればいい)」と言えないこともないですが、プロ野球と草野球みたいなすみわけのない謎解きの世界でそれを言ってしまうのも、、、って気がしないでもないです。

 

謎解きの難易度アップって、おそらく基本このあたりかと思います。

「より難しい謎が解きたい」って人も大勢いることは知ってますのでこれらを単純に批判はできないですし、面白い謎がたくさん解ける喜びやとんでもない発想に気付いた気持ちよさも知ってるつもりです。

でもやっぱり、初参加とは言わないまでも、何回目かめの人が「頑張れば解けたのに―」ってなる難易度調整ってできないものかなっていつも考えています。

 

さて、後半では僕が作るとするなら、って話をします。

よかったら、今回の2案以外で何か無いか考えてみてください。

 

 

【おまけ】

一案目の例の中で出た、「さあ100番目のマルは何色でしたでしょう?」のやつですが、自分が司会するとしたら、解説のときに

「よく思い出してください。最初の説明の時に100番目の青いマルでは休憩で両足ついても良いって言いましたよねー。というわけで、正解は青いマルでしたー!ケンケンしながら戻ってたら、さぞ時間が足りなかったことでしょう(ドヤ顔)」

ってやると思います(笑)

好きな謎・嫌いな謎

これから脱出ゲームの感想とか言ってく上で、語っといた方がいいなあと思う話題です。

 

映画とかでもそうですが、アクション・ホラー・学園・SF・邦画・邦画・熱い系・感動系・悲しい系とかどんな系統が好みの人なのかがわかると読みやすくなると思います。

自分の好みをある程度わかってもらった上で読んでもらえると、辛口のことを書いたときに、「あの人は〇〇なひとだしね」とあしらってもらえれば良いかな、という保険もあったり(笑)

 

というわけで、私が好きな謎の一つは綺麗な謎です。

綺麗な謎とは?って話もいつか書かねばと思うのですが、簡単に言うと解説を聞いたときに少しの曇りもなくスッキリできる謎です。

答えを聞いた後に、「とは言っても、××って考え方もできるんじゃない?」とか差しはさむ余地の無い謎です。

こういう謎ってどうしても簡単になりがちなんですが、だからこそ解けなかった時に「悔しい!!」って思えてそれが病みつきになる要素だと思ってます。

 

もう一つは、複線のしっかりしている謎です。

これめっちゃ重要。解説を聞いたときに「確かにあったわそれー!なんで気づかんかったん!」ってなる感じめっちゃ気持ちよくないですか?(笑)

逆に「え?そんなんあった?さらっとしすぎて気にも留めんかったわ」ってなったときは冷めまくってしまいます。

ちょっと誤解されるかもですが、僕は小謎と呼ばれる最初の簡単めな問題を解くのは、中謎や大謎を解くための作業だと思っています。

小謎を解くときに感じた違和感が中謎や大謎の伏線になっているとすごく気持ちいのです。

 

僕が作る問題はがっつり伏線を利かせるので、「簡単」って声があるのは知ってるんですが、伏線に気づかない人を作りたくないって思いからなんですよね。

「気づいてたのにー!」って言わせたいんです(笑)

 

嫌いな謎はこの逆のお話ですので割愛します。

 

最近の脱出ゲームは難易度が重視されてて、何かモヤっとする失敗が多い気がします。

難易度を上げるために複線が薄めにされてたり、物量で埋もれさせたりってのが増えてきている気がします。

気持ちよく失敗できる機会が減ってる気がするんですよ。

この辺は自分の謎解き力を上げるしかないのかなーとも思いますが・・・。

 

最後いきなり愚痴っぽくなちゃいましたが、佐藤の好きな謎はこのあたりです。

もうすこし細かい好みはおいおい、、、ということで!

はじめに

こんにちは。

佐藤慶樹(さとうよしき)と申します。

 

脱出ゲームが大好きな僧侶です。

好きが転じて制作までするようになってしまい、現在は「Toy×ボーズ(トイカケボーズ)」という脱出ゲーム制作団体の代表を務めさせていただいております。

 

団体を立ち上げたは良いものの、メンバーはほとんど僧侶です。

そして自分を除くメンバー全員、脱出ゲームの「だ」の字も知らないところからスタートしました。

 

このブログを始めた理由の一つは、うちのメンバーに向けて、脱出ゲームについて『制作者として』の自分が思うところを文章で残したいと思ったからです。

もう一つの理由は、脱出ゲームについて『参加者として』の自分が思うところを書き残すことで、参加するときの参考にしてもらったり、制作の参考にしてもらったりして欲しいなと思ったからです。

 

とにかく、脱出ゲームについて思いついたときに好き勝手に書いていこうと思いますので、どうかよろしくお願いします。